世界では常識!? キャッシュレス化によるメリットとは

日本では2020年に東京オリンピック、2025年に大阪万博と大きな国際イベントが待ち構えています。これらのイベントを前にして、政府はキャッシュレス化を推進しています。世界の中では遅れていると言われている日本のキャッシュレス化ですが、キャッシュレス化にはどんなメリットがあるのか、キャッシュレス社会での注意点などについて見ていきましょう。

キャッシュレスとは?

キャッシュレス化のメリットを解説する前に、そもそもキャッシュレスとは何かを説明しておきましょう。

現金を使わない決済方法

現代ではキャッシュレスの定義は広いですが、一般的には現金(お札や硬貨)を使用せずに買い物やサービスの決済を行うことを言います。キャッシュレスでの決済手段には、クレジットカード、口座振替、電子マネー、仮想通貨、収納代行などさまざまなものがあります。

キャッシュレスはモノやサービスの購入タイミングと支払いのタイミングにより「プリペイド(前払い)」「リアルタイムペイ(即時払い)」「ポストペイ(後払い)」の3種類に分類できます。プリペイドでは支払いの前にある程度の利用額をあらかじめチャージしておきます。リアルタイムペイはデビットカードに代表され、デビットカードの場合は購入と同時に支払代金が銀行口座から引き落とされます。クレジットカードはポストペイの代表格で、通常は商品やサービスの購入から1~2ヶ月後に代金が引き落とされます。

また、決済時にカードなどの記録媒体を端末で読み込む「接触型」と、交通系電子マネーのように、かざすだけで読み取れる「非接触型」という分類もありますが、QRコードなどを読み取る「読み取り型」も現在急速に普及が進んでいます。読み取り型は店舗の側にキャッシュレス化対応の専用端末やネットワークシステムがなくとも利用が可能という点で、特に小規模店舗や移動型の店舗への導入に向いています。

世界で進むキャッシュレス社会

世界では急速に、キャッシュレス化の流れが進んでいます。野村総合研究所(NRI)の2018年の調査によると、現在の日本のキャッシュレス化率は20%弱であるのに対し、韓国では95%を越えています。インドでは2016年11月8日に最高額の2種、1,000ルピーと500ルピー紙幣の廃止が宣言されました。突然の宣言により社会生活は混乱に見舞われましたが、結果としてキャッシュレス化は急速に進みました。また、中国ではQRコード読取りによるキャッシュレス決済が広く浸透しており、露天商までも店頭に決済用QRコードを掲げていることが珍しくありません。もはやQRコード決済なしでは生活に支障が出るといえるほどの普及率を見せています。キャッシュレス先進国として知られるスウェーデンでは「現金NG」の店も多く、なんと銀行窓口の半数以上は現金を取り扱っていません。

日本ではまだまだ現金が使われている

日本のキャッシュレス化はまだ途上にある状態です。しかし、国際決済銀行の 「Statistics on payment, clearing and settlement systems in the CPMI countries –Figures for 2016」という調査によれば、日本のクレジットカードの所有率は総人口一人当たり7.7枚となっており、交通系電子マネーは交通機関の運賃支払い手段として定着しているなど、キャッシュレス化の環境は整っています。それでも日本のキャッシュレス化が遅れている背景には「盗難の少なさをはじめとする治安の良さ」「偽札の流通が少なく現金への信頼性が高い」「ATMの普及率の高さ」「店頭レジの処理の高速性」など、それ単体で見ると良いことばかりであるという皮肉な現状があります。そのような現状があるなかで、政府は「未来投資戦略2017」の中で2027年までにキャッシュレス決済比率を40%にまで高めるという目標を掲げています。

キャッシュレス化によるメリット

日本では普及の遅れているキャッシュレス決済ですが、そのメリットはどこにあるのでしょうか。

現金を持たなくて良い

キャッシュレス化が進むと現金の持ち歩きをぐっと少なくすることができます。現金を使わない支払いはコードを読み取る、あるいは、非接触カードをかざすだけで完結することから非常にスムーズといえます。また、持ち歩く現金が少なくなることで、財布の中身はすっきりします。給料日や連休前にATMに行列ができるおなじみの光景も見られなくなるでしょう。キャッシュレス決済では、決済用のカードや端末が第三者の手に渡っても、即座に利用を停止できます。このため、スリやひったくりなどの路上犯罪の防止にもつながることが期待できます。

ポイントがたまる

多くのキャッシュレスサービスはサービスに付帯したポイントプログラムを用意しています。消費者にとっては、キャッシュレス決済を行うことによりポイントによる還元を受けることができるので、お得だと言えるでしょう。

利用履歴を振り返ることができる

賢くお金を使うためには、自分のお金の出入りを正しく把握することが大切です。現金決済での支出の把握は、レシートやメモに頼るしかなく、家計簿や帳簿への転記の手間があるうえに、財布がレシートで膨れ上がってしまうということもあります。キャッシュレス決済では決済サービスを提供する会社のWEBサイトやアプリを見ることで、利用状況を容易に確認することができます。

キャッシュレスの注意点

便利な面も多いキャッシュレス決済ですが、利用するうえで注意が必要な点もあります。

使いすぎに気をつける必要がある

キャッシュレス決済での支払いは、簡単に支払い手続きが済んでしまう上に、財布の中の現金が減っていく様子を見ることもありません。このために「お金を使っている」という感覚が鈍るため、使いすぎにならないように気をつける必要があります。

まだまだ使用できない店舗がある

日本でもキャッシュレス化が徐々に進んではいますが、まだ利用できない店舗も少なくありません。特に個人店や小規模店舗では現金での支払いが主流です。たとえば飲食店情報サイトでは、店舗の検索条件に「カード支払い可」を加えると、検索結果数が大幅に減ってしまいます。このことからも、キャッシュレス化率がまだまだ低いことがわかります。キャッシュレスサービスの利用が確認できない店舗での買い物などには、現金をきちんと用意しておくのが無難です。

現金が必要な場面も

災害による停電やネットワークのトラブルなどがあると、キャッシュレス決済のサービスが停止してしまうことがあります。そのため、急きょ現金が必要になる場合があるのも事実です。また、キャッシュレス決済は、人数割りでの決済(割り勘)に対応していないことが多く、この場合のちょっとしたやり取りには現金が必要です。自動販売機も電子マネー対応のものを目にすることが多くなりましたが、現金のみを取り扱う自動販売機もまだ多くあります。また、都市部の交通機関は交通系電子マネーの導入がされていることが多いですが、地方の交通機関などは非対応であることも珍しくありません。このため、出先での交通費に急に現金が必要になることもあります。キャッシュレス決済が普及途上である日本での生活では、まだ最低限の現金は持ち歩いた方が良いようです。

キャッシュレスについての正しい知識を身につけ、社会の変化に備えましょう!

キャッシュレス化が急速に進んだ国では、キャッシュレス化に対応できない人々を中心に社会での混乱も見られました。現金信仰の強い日本のキャッシュレス化の速度は緩やかですが、確実に進んでいます。オリンピックや万博に向け、政府主導でのキャッシュレス化が一段と加速すると予測される中、正しい知識をもってキャッシュレス化の波に備えておきましょう。

関連記事